光と雫
*9*
そこは、窓の無い狭い部屋で、小さな棚が置いてあるだけの部屋だった。
棚の上には、小さな"太陽"と"傘"のガラス細工が可愛らしく飾ってあった。
「ねぇ。葵、、、、、、。」
二人きりの窓の無い部屋で、アマダラ王国の王子。守良が、ハレルヤ王国の王子。葵に不意に話しかけた。
「、、、、、、、、、」
葵は黙ったままだった。
「僕は、考えたんだ。ずっとね。ずっと。」
「、、、、、、」
葵がただ黙っているのは、守良がこの後、自分に告げるであろう言葉を、大体予測していたからであった。
「君には失礼かつ、唐突かもしれないけれど。この世に。この世界に太陽なんて要らないと僕は思うんだ。でも、隣国で有り敵国でも有るハレルヤ王国は、太陽の存在を主張する。そこでだ、、、、。僕は。ハレルヤ王国を潰さなければ、ハレルヤ王国は一生、太陽の存在を主張するに決まっていると思ったんだ。 そうだろ?」
葵は、守良を睨み付けて。目で訴える。
「あぁ。」
「、、、、僕は、ハレルヤ王国を潰すよ。」
守良は、一度足元を見て、再び顔を上げ葵を睨み返しながら
「我が国、アマダラ王国は、ハレルヤ王国に宣戦を布告する!!」
部屋のドアの向こうで、光は、声を上げずに驚いていた。そして、駆け足で、城の外へ逃げていた。
back/top/next