光と雫
光は走って馬車に乗り込み城に戻ろうと考えた。
しかし、雫はこの事を知っているのだろうか……
一応知らせた方が良いのだろうか。
光は走っていた足を止めた。
静かな城の中で光の、はあはあと息切れする音だけが目立っていた。
そして、振り返り今来た道を引き返そうとした。
「(雫に知らせなくちゃ!!)」
だが、葵が城に戻る前に自分は戻っていなければならない。
守良に見つかったら何があるかわからない。
それに、この広いアマダラ城の中で雫の部屋を見つけられるともわからない。
だけど、どうやって、この宣戦布告の事を雫に知らせられるのだろうか…。
その時だった。カツカツと足音がした。そして、ゆっくりと光に近づいてくるようだ。
「誰かそこにいるのか!?」
足音の正体は城の兵士だった。
「(ヤ…ヤバイ!!)」
光は足音を足音を立てない様に城を出た。
光は雫に宣戦布告の事を知らせ損ねたのであった…。
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