「ふっ。」


守良は短いため息を漏らした。


そして、晴雨と雫に背を向けて、ボタンへと歩き出した。

その瞬間、雫が葵の持っていた剣に駆け寄り、そして掴み。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


雫は、守良に切りかかろうとしたが、


カキーン


雫の持っていた剣は、振り向いた守良によって跳ね飛ばされていた。

そして、ジリリと雫に近寄る。


「何しようとしたの?自分の手を怪我したこともない、剣さえ握ったこともないような、箱入り娘が
 この僕に何しようとしたの、適うわけないじゃんかっ。」


守良はそう言って、雫を押し倒して、首を絞め始めた。

「あっ!!」

雫はどうしていいのか判らなくなった。何も考えずに行動したのが馬鹿だったと後悔した。


守良はその両手に力を徐々に入れ始めた。


そして大声で言う。


「もういい。魔女、あなたがそのボタンを押してください。
 あなたの手で絶望というなの道を切り開いてください!!」


それを聞いた魔女は


「わかったよ。」

微笑んでボタンに手を伸ばし始めた。



「やめてぇぇぇぇっ!!」


晴雨が絶叫した。

そして走り出した。







やめてっ!!おばあちゃん!!!!



魔女の手がゆっくりとボタンに近づく



嫌ぁぁぁぁぁっ!!!



その時に思い出した。


十年も前に教えてもらったのに、鮮明に覚えている一番大きな呪文。


おばあちゃん。貴女は何のためにこの呪文を私に教えたの??


”私が願ったもの全てをこの世界から、跡形もなく消してしまう呪文。”





晴雨は、異国の物語の様な短い詠を歌い始めた。


その詠は時間を止めた。




「、、、、、この建物を消してっ!!!」






そして、、、、、、、、













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