「晴雨っ、晴雨っ起きなさい!!」
誰かの呼ぶ声がする。
「晴雨っ遅刻するわよ。」
お母さん?
私、空の世界にいたはずじゃ??
目を開けると其処は確かに私の家で、目の前に立っているのは母親だった。
目を開けた私に気づいた母は、
「あんた、昨日遅くまで本を読んでたのね?」
そう言って私の枕元の本を持ち上げた。
「あっ!!!」
私は急にあることを思い出した。
「お母さんっ!!光様は?雫様は??」
そんな突拍子もない質問を母に投げかけた。
「もうっまだ寝ぼけてる。夢を見たんじゃない?」
母は私に手に持っていた本を見せた。
”光と雫”
「これ、お婆ちゃんの遺品でしょ?あなた、小さいときから好きよねこの話」
早くしなさいよ。と付け加えた母は、ポスッと本を布団の上に置いて部屋から出て行った。
あれは夢だったのだろうか?
私の祖母は、2年前に亡くなっている。
やっぱり本の内容が夢に出てきたのだろうか?
私は、ベットから、抜け出すとパジャマのままで部屋を飛び出した。
バタバタと廊下を抜けて、たどり着いたのはお婆ちゃんの部屋。
夢の私はあの時この部屋の押入れの中あった秘密の階段を上って、
空の上に行ったのだ。
ゴクリと唾を飲み込んだ。
部屋に一歩踏み入れて、少しづつ少しづつ押入れに近づく。
そして。
スパンッ。
よくすべる押入れの扉は開いた。
「かい、、、、、、だん。」
あった。
ふつふつと湧き上がってくる、この階段を上りたいという気持ち。
そして、右足を一段目に乗せた。
トンッ。
上りきった時、視界が開けた。
そこは雲の上だった。晴雨の視線の先には、二つの城が並んで建っていた。
その城に見覚えがあった。
「ハレルヤ城、、、、、アマダラ城、、。」
夢ではなかったのだ。
Fine.
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