「魔女、、、、。」


守良が呟いた。


「もう、おしまいよ。魔女はアンタのご主人、で私たちの味方だもの。あなたはもう壊される。」


光が、守良を見上げて言った。

だが、守良はニヤリと笑って、光の横をすうっと通り抜けていった。
光はそれを、不思議そうに見つめた。


守良は、静かに魔女に歩み寄った。

「おばあちゃん逃げてっ!!」

晴雨が叫んだ。


が、


守良は、魔女の横に並んだのだ。


「ど、、、ういうこと、、、?」

晴雨の顔がさっと白くなった。


「どうもこうもないさ。」


「お互い望みを叶えるために、協力しただけのこと。」

魔女は、晴雨に近寄り彼女の顎をクイっと持ち上げた。


「十分面白かった。あたしはね、人が困惑し、うろつきまわり、
どうしようもないという、絶望への道を歩いてゆく様を見てみたかったんだよ。
この人形は、この世界が欲しかった。だから、お互い協力して、
人形が遊びまわり、人々が困り果てている様子をじっくりあたしは楽しんだ。
アンタはいい脇役だったよ。」



そのとき、晴雨のなかで魔女の

「晴雨はとても良い子だね。私の跡継ぎには十分な子だよ。」

という言葉が木霊した。


「じゃああの言葉は嘘だったの?」

晴雨は掠れた声で言った。

「あぁ。跡継ぎの話かい。あたしは後継者を残すつもりはないよ。
この魔女の座は、ずっとあたしのもんさ。たとえもうすぐ世界が滅びてもね。」

「そんなっ!?」


雫が抗議した。

「私たちを裏切るつもりですか?」


「裏切る?最初から味方のつもりはないけどね。
  勝手にそっちが思い込んでいただけじゃないかい?」


そう言って魔女は、晴雨の顎から手を離した。
雫は高い場所から落ちるような感覚にとらわれた。


「おばあちゃん!!正気に戻ってよ!!」

晴雨が、魔女の服の裾を掴んだ。

「ふんっ。元から正気なんざ持ち合わせてなんかないねっ!」

パチンと晴雨の手を振り払った。

「さ、、続きを見せてもらおうか。」


魔女は、守良の肩をポンと軽く叩いて部屋の奥、ボタンの方へと向った。
















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