「光、お前何を知っているんだ?」
「殆ど。」
葵の問いに短く答える光。
二人は、城の外に来ていた。
「中を覗いてみてくださいな。」
光は止めてあった、先程まで乗っていた馬車を指して言った。
葵は怪訝そうな顔をしたが、光に従い、馬車の中を覗いた。
中には、一組の男女が乗っていた。
葵はその二人に見覚えがあった。
「あなた方はっ!!」
「お前っ!!」
どういうことだと、困惑した顔で光に振り返った。
「開けて差し上げて。」
馬車の扉を開けるように、葵に促した。
カチャリ。
そして降りてきた二人は、
葵に会釈した。
それに対して葵は深々と一礼した。
「さぁ、もう皆も集まっている頃ですわ、急ぎましょう、お二人とも付いてきてください。」
そう言って歩き出した二人に、葵に
「光どういうことだよっ!!」
葵が叫んだ。
「いいから黙ってついてらして。中でご説明いたしますから。」
そういって足早に歩き出した。
四人は、大きな扉の前に立っていた。
光が、再び両手を扉に掛けて押し開けた。
中には、数百人の家来たちがいた。
「姫っ!!」
「光様!!」
皆が様々な反応を示す中、光が
「皆に会わせたい方がいらっしゃいます。」
そう言って、アマダラの王と后に部屋に入るように促した。
そして、光を先頭に、四人は王座の前まで進んだ。
四人が家来たちの中を縫って歩く中、恐ろしいぐらいに静かだった。
そして、
「皆、ご存知かも知れませんが、アマダラの王様と、お后様です。」
紹介された二人が軽く頭を下げた。
「お父様、二人は死んでなんかいらっしゃらないわ。」
光は、力強く言った。
「なんとっ!!どういうことだ。」
光は説明を始めた。
「今、アマダラのほうでも騒いでいらっしゃるけど、王も后も死んでなんかいないのよ。
でも、殺そうとした奴ならいるわ。王子の守良よ。」
その瞬間少し部屋がざわついたが、光は構わず続けた。
「自殺でもなんでもない。他殺未遂だったの。
あの人形は、この世界を自分のものにするために暴走してるわ。
そのうちハレルヤにも攻撃を仕掛けてくるはず。だから皆には、国を守ってもらおうと思って。
軍を動かしてほしいのよ。」
その光の頼みに、
葵が
「でも、二人の死体は見つかったはず。、、、、」
そう言った。
光は
「それなら、頼もしい味方がいるの。西の魔女と、その孫娘、晴雨が二人を魔法で布切れと入れ替えて
助けたのよ。晴雨は今、、、、、」
そう言いかけたときに
「光様ぁぁぁぁぁぁっ!!」
入り口の方から声がした。
相当走ったのだろう、息を切らした晴雨がそこに立っていた。
「晴雨っ!!」
「大変なんですっ。天気操作局がっ守良様に襲われてっ!!今すぐ行かないと!!」
そう訴えた。
「解ったわ。今すぐ行きます。お兄様も一緒に。」
「あぁ。」
「皆は、それぞれ、仕事に当たって。軍の準備とか、とにかく守良の手に触れないように。」
そういって、葵と、光は晴雨のもとに走りより、城を出るために走り出した。
「外に雫様もいらっしゃいますからっ」
そう晴雨に伝えられて、三人は廊下を駆け抜けていった。
城の外に出ると、雫がいた。
三人は、その前で止まった。
「馬車を使う?」
息を切らしながらも、光が葵に尋ねたが、
「馬鹿、そんな時間あるかよ。ここからそんなに遠くもない。走るぞっ」
そう言って、走り出した。
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