光と雫




今日も心地よく晴れている、寒くも無く、厚くも無く、やわらかな風がひらひらと吹いている。


民は畑を耕し、作物を育てている。



畑にまかれている水が光を受けキラキラと輝いている。



ハレルヤ国は平和だった。




表面上。





年々悪化していくアマダラ国との関係。この関係が崩れれば、下界の天気も大きく崩れるのだ。




王家はその責任を背負っているのだ。




なんとかしなくては。




ハレルヤ国の次期王である、王子 葵は、焦っているのであった。




ここは、ハレルヤ城の王の間。




「王、王子がお話があるとのことですが、、、、いかがなさいますか?」



家来の一人が床に跪き、言った。




「構わん入れなさい。」



王は立派な王座で本を読んでいた。 「はい。」



家来は立ち上がると一礼し、部屋を出て行った。



しばらくすると、ドア越しに

「父上。お話がございます。」



「入りなさい。」



王がそう答えると、ギィと音を立てて扉が開いた。



そして、青みがかった、黒い髪と瞳を持つ整った顔立ちの青年が現れた。



王子 葵だ。



葵が、扉の向うから歩いてやってくると、先ほど家来が跪いた位置の辺りで、家来と同じように
一礼して、跪く。




「何用だ?」


王が言うと、



「はい。先程、アマダラの王と王妃が自殺なされたとの知らせがありました。」


その言葉に王は顔を顰めた。


「何だと?」


「私の考えが正しければ、お二方は自殺ではなく、他殺かと。」


葵は少し間を空けて

「王子、守良の仕業かと思われます。あれは、世界を乗っ取ろうとしています。」



「あの人形かっ!!」


王は立ち上がったが、葵は静かに


「この件、私にお任せいただけませんでしょうか?」



こう言った。

「、、、、、、、」


葵は王を見上げた。



「よかろう。」


そう言って、王は座りなおした。


「ありがとうございます。葵、必ずや守良の企みを止めてみせます。」


葵は上げていた顔を再び下げて、礼をすると、部屋から出て行った。













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