光と雫
「何か方法は無いのですか?」
私が聞いた。
「無いことは、無いよ、、、ただ、、、、、」
「ただ?」
「ひとつだけ。」
「ひとつだけ?」
おばあちゃんは黙ってしまった。
沈黙が流れる
「もしかして、殺すの?」
私が沈黙を破った。まさかとは思ったけど。
「それぐらいじゃ、、、、なぁ、、、」
「そっ、、、そんな!?」
雫様は体を前に乗り出した。信じられないというような表情で。
そんな彼女を光様が黙って椅子に戻す。
「止めてくださいっ!!!」
雫様が、光様の左手をパシッと音を立てて払いのける。
光様の左手が、少し赤くなっていた。
「あなたには、分からないのよ!私、どうしたらいいの、、、、」
雫様が光様を見下ろしながら言った。
「そうだ、、、、、」
雫様が思い出したように立ったまま呟いた。
「葵様はどうなさいますの? 葵様も殺すのですか?
そうですわよね。お兄様だけ殺して、葵様を殺さないなんて事ないですわよね?」
「雫、おだまりよ。まず、座りなさい。落ち着きがないね、まったく。
葵については考えてない。あいつは戦う気は無さそうだし、あの人形が落ち着けばいいだけのことじゃないのか。」
「そんな、それじゃ不公平!!!!」
「不公平も何も無いんだよっ!!」
「お、、、、、お婆ちゃん?、、、」
こんなに怒っているお婆ちゃんなんて初めて見た。
「今、下の天気は、とんでもない事になってるんだ。早く解決しないと。」
「私、帰ります。」
雫様が、すっと立ち上がって、出て行ってしまった。その背中が、とてもさびしく見えた。
back/top/next